時は2015年、ニューヨーク州のマンハッタン。
トライベッカの路地裏にあるレンガ創りのおしゃれな老舗カフェ。
そこには、一眼レフを片手に Instagram に #TAG をつけて発信している若いニューヨーカーのカップルの楽しげな姿がありました。
STYLE THE WORLD. — 世界をスタイルする。—
心ときめくモノを、新しいトレンドを、美しいシーンを、そして古き良き文化を、世界中の人たちに圧倒的なパワーで届けたい。しかも “個” の自由なカタチで。
この何気ないマンハッタンの日常の光景を見つめながら、TAGPIC という小さな会社のコンセプトが誕生しました。
私が、広義の“インフルエンサー・マーケティング”と関わりを持ったのはもう8年も前のこと。当時、読者モデルとして活動する傍ら、広告代理店で働き始めた私ですが、幸いにもブランドを一から創り、読者モデル系 “インフルエンサー” を活用し、世にトレンドを発信する仕事を担当することになりました。今では一般的な言葉となりましたが、“インフルエンサー” という言葉が世に存在しない時代から、既に “インフルエンサー” と仕事を始めていたのです。
ファッショントレンドの歴史を紐解いていくと、ココ・シャネルにたどり着きます。フルカスタムするオートクチュールの時代から、プレタポルテ(既成品)の時代へとトレンドが変遷する中、時代へ逆行し、オートクチュールにこだわり続けた逞しいココ・シャネルは、多くの女性の憧れであり、私も魅了された一人です。
2006年公開の映画『プラダを着た悪魔』を観るとよく分かりますが、プレタポルテ全盛期。パリで行われるプレタポルテの展示会から毎シーズンのトレンドが発信され、世界中のブティックには既成の量産品が棚に並び、消費者が買わされる時代が半世紀以上も続きます。雑誌やCMへの露出が高いものを一般消費者は何となく買わされる、その一連の消費行動プロセスは変わらない、はずだったのです。Instagram が世に広がるまでは…。
情報弱者だった受動的な一般消費者は、今、変わりつつあります。
本来消費者側であった“個” がメディアとなり、自分だけのスタイルを創り、表現し、発信できる時代。その開かれた時代は、今までの概念を劇的に覆すもので、その変革期を一番近くで感じ関わりながら、私たち自身も、自らが“ワクワク愉(たの)しめること”をしたい。
ココ・シャネルのように、ひと縫いひと縫いのステッチへのこだわりを大切にしながら、新しい時代の新しいトレンドを綴っていける代表的な企業を創りたい。そんな想いで TAGPIC を創りました。
CEO AYUMI YASUOKA